日彫友の会

 日本彫刻会での視覚障がい者への彫刻鑑賞支援のはじまりは、前身である日本彫塑会の第15回記念日彫展(昭和42年)に遡ります。以降、この精神は脈々と引き継がれ、平成18年~平成25年までの「触れる彫刻鑑賞プロジェクト」による彫刻鑑賞教室・タッチツアーに参加された視覚障がい者は延べ約440名に及びました。
そして2014年1月、日彫友の会が発足し、視覚障がい者への彫刻鑑賞支援は新たなスタートの時を迎えました。この友の会は、日彫会会員のみならず広く社会の方々とともに、視覚障がい者への彫刻鑑賞支援に取り組んでいく会です。友の会のメンバーと本会が協働し、タッチツアーや鑑賞教室の企画、運営などを行なうことにより、彫刻鑑賞支援のますますの充実を図ります。

 以下、これまで本会の活動に貴重なご助言等をくださり、これからは友の会会員としてご協力いただきます半田こづえ氏からの一文を掲載いたします。

日彫友の会 会員  半田こづえ

 日彫展では、盲学校の生徒たちが参加する「彫刻鑑賞教室」と視覚障がいのある大人の希望者のための「タッチツアー」が開催されてきました。私がこれらの活動に関わらせていただくようになった切っ掛けは、2004年(平成16年)に筑波大学大学院で障がいのある人たちへの鑑賞支援について研究を始めたことでした。
その年から「触れる彫刻鑑賞プロジェクト」がスタートするまでの2年間、筑波大学で視覚障がい教育を学ぶ学生さんたちも、鑑賞教室のお手伝いに来てくださいました。ときおり、その時の学生さんが、盲学校の先生になり、生徒さんたちと鑑賞教室に来られることがあります。日本彫刻会の皆様の活動が根を下ろしていることを感じる嬉しい瞬間です。

 現在、視覚に障がいのある人たちが彫刻芸術に触れる機会は、徐々に増えているとはいえ、数えるほどしかありません。子供のころに良い出会いに恵まれ、芸術に触れる喜びを感じた視覚障がいのある人たちは、大人になって機会があると遠くまで出かけて行くと聞きます。また、彫刻に触ってみていろいろな質問が浮かんで来た時に作家の方がそれに答えてくださることで鑑賞が深まり、心に残る体験になるのではないかと思います。この紙面をお借りして、貴重な作品に触ることを了解してくださる日彫会会員の皆様、当日小学生から大人まで相手の状況に合せた解説をしてくださる会員の方々、そして準備から片づけまで多くのことに心配りをしてくださる事務局の皆様に心から感謝申し上げます。
 今後とも「日彫友の会」にご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

視覚に障がいのある子どもたちの作品展示

 「触れる鑑賞を充実させること」と、「障がいの有無を超えて作品づくりの喜びに触れる機会を増やすこと」を目指し、日本彫刻会では触れる鑑賞教室に加えて、2023年(第52回日彫展)から盲学校・視覚特別支援学校の子どもたちの展示ブースを設置します。
 この取り組みを円滑に進めるため、本会では2022年に「クラウドファンディング」に挑戦し、46名の方より総額で660,500円ものご支援をいただきました。

<ご支援いただいた皆様> ※順不同
bluepine様、N様、S.A様、S.M様、S.T様、sumimo様、E.S.様、K.H様、K.I.様、kouchan様、
PLAYWORKS株式会社様、池山永津子様、伊藤 彩様、うめ・あき・さくら様、大田理奈様、
梶原 涼様、佐藤直子様、一般社団法人触覚書道刻字協会様、鈴木紹陶武様、のえみ様、
文化ネット様、堀内有子様、堀内秀雄様、松浦 宰様、水野谷憲郎様、山崎兼慈様、吉田晃章様

改めてまして、皆様には心より御礼申し上げます。

詳細はこちら→クラウドファンディング「触れるアートで未来をひらく!視覚に障害のある子どもたちの作品を美術館へ」 (外部リンク)